プロジェクトスクール@3331レクチャーvol.2

アートプロジェクト「TURN」の社会的役割(講師:アーティスト 日比野克彦氏)


プロジェクトスクール@3331第二期、第2回目はアーティストの日比野克彦さんを講師に迎え、日比野さんが監修されるアートプロジェクト「TURN」を実例に、社会におけるプロジェクトの役割について学びました。
8月18日〜20日の日程で行われていた「TURN FES 3」の展示を訪問し、鑑賞しながら、テーマである「アクセシビリティ」についてそれぞれに思いを巡らせました。

【実施概要】

日 時: 8月19日(土)

講 師: 日比野 克彦 氏(アーティスト)

参加生徒数: 23名

 

アートプロジェクト「TURN」のはじまり

「TURNプロジェクトの始まりは、4年前、国内のアール・ブリュット(※)専門の美術館5館のうちの4館が合同で展覧会を行うことになり、その監修を依頼されたことがきっかけです。障がいの有無を超えてもっと広い枠組みで展覧会を作りたいと思い、展覧会を『TURN』と名付けました。その時、自分でももっと状況を理解したいと思って、障がいのある方の福祉施設4箇所にショートステイしたんですね。そしたら居心地が良くて、学ぶこともいっぱいあって。アーティストがこの場所に身を置いて、交流して、作品を生み出す意義を感じました。ここからTURNがプロジェクトとして動き出しました。

現在は、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都の文化プログラムとして実施されています。」(日比野さん)

※アール・ブリュットとは、既存の美術や文化潮流とは無縁の文脈によって制作された芸術作品の意味で、 英語ではアウトサイダー・アートと称されている。加工されていない生( き) の芸術、伝統や流行、教育などに左右されず自身の内側から湧きあがる衝動のままに表現した芸術である。フランスの画家ジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet 1901-1985)によって考案されたことばである。(引用元:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA「アール・ブリュットとは」)

 

自分と他者

「今回の『TURN FES 3』のテーマは『アクセシビリティ』です。障がいのある人とない人が相互にコミュニケーションを取る上でのアクセシビリティ、障がいのある方が何かをする・やりたいと思う時のアクセシビリティ。また、もっと言葉を解き放って、自分と自分以外の人=他者とのアクセシビリティというフレームで考えれば、障がいがある/ないという関係性も変わってくるかもしれない。そういった意味が込められています。」(日比野さん)

 

テクノロジー・ファッション・教育・アート…の中でTURNする

TURN FES 3は一見様々なジャンルに分かれていますが、一貫して自己と他者・社会に眼差しが向けられた作品が集まっています。

公開授業を行なっている部屋があれば、口で発する会話を禁止し筆談やボディランゲージだけの会話を行う部屋もあり、展示、ドキュメンタリー映像、最先端技術の体験など幅広い表現方法・領域の中で、自分自身との対話、自分と他者との対話が膨らむ空間でした。

 

TURNの必然性


プロジェクトを行う上で重要な、「なぜ、それを、わたしが行うのか」という問い。日比野さんからはこんな回答が返ってきました。
「美術(アート)に携わる人間として、その可能性はもっとたくさんあると思っています。でも、社会の中で機能しているのはごくごく一部。“学問”としての美術が、絵が苦手、近寄りがたいと人を遠ざけてしまっている気がしています。
本来のアートって、人の根底に流れていて、年齢・人種・障がいのあるなし関わらず、みんなで共有できるもののはずなんです。そういう意味では、アートの可能性を広げていくことが自分の役割かなと思っています。その中でこのTURNの取り組みは「アートをより社会の中で機能させていく」という点で、自分の中で必然的なことなんです。」(日比野さん)

 

Point:
自分と自分、自分と他者、自分と社会を『TURN』する過程がもたらすもの

自分との対話、他者との関係、社会と対峙することで相対的に見える自分。関係性を解きほぐし、思いを巡らせることで、自分の中に生まれるこの感覚こそが『TURN』するという言葉の意味するところではないかと思います。
プロジェクトスクール@3331のスクール生は、各自が感じた気づきを記録する「気づきレポート」を毎日書いています。気づきこそがプロジェクトのはじまりになるからです。気づきをもたらすプロセスとして、『TURNする』という営みが必要なのではないかと感じました。

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