プロジェクトスクール@3331レクチャーvol.3

写真と編集をセットで考える ~ 君といた夏(講師:写真家 池田晶紀氏)


プロジェクトスクール@3331 第2期、第3回目は写真家の池田晶紀さんを講師に迎え、ポートレート撮影を通じた写真講座を開催しました。
笑顔が印象的な池田さんの作品。撮影者と被写体の関係性・コミュニケーションを映し出す写真とは…?

【実施概要】

日 時: 8月21日(月)

講 師: 池田 晶紀 氏(写真家)

参加生徒数: 21名

 

心を開いて、相手に近づく

「僕ら写真家は、人に会うことが仕事です。相手の心の扉を叩いたら中はこうなっていた!ということを、写真を通じてお伝えしています。だから、最初の『初めまして』がとっても肝心です。最近の映像作品で、きょうされんの洗びんセンターで働く方々を撮影(※)したものがあるのですが、彼らとの『初めまして』は、いきなり写真を撮りました。その後、『二度目まして』として何をするのがいいかなーと思った時に、自分が好きなものを書いてもらったんですね。好きなものが見えた時に、個性やその人らしさを感じられるんです。」(池田さん)
ご挨拶の後、池田さんの「好きなもの」という映像作品を鑑賞。映像を観ながら「心が開いていくような」体験をしました。
「人と近づき、向かい合うためには、自分の心が開いた状態である必要があります。最短で近づこうと思うなら、まず自分の心を開いていくこと。これに尽きます。」(池田さん)

 

※池田晶紀 ドキュメンタリービ
デオドラマ作品 『ロードショー』(2017 年/ 59 分27 秒)社会福祉法人きょうされんリサイクル洗びんセンターで働く高橋正浩さんの作成している「地図」についてのドキュメンタリー作品。

 

ポートレートワークショップ開始!

「ペアになった2 人で、好きなものとか、とにかくお互いのことを知り合ってください。」と、池田さんの号令とともに、皆さん思い思いの場所・スタイルで時間を過ごしはじめました。公園で語り合うチーム、街中を散策するチーム、お茶をしながらお話しするチーム。さて、どんな写真を撮るのでしょうか。

 

過ごした時間と関係性が写真にあらわれる

写真は全部で23枚。背景も表情も様々で個性的な作品が揃いました。23枚それぞれに対し、池田さんからコメントをいただきました。いくつかを紹介します。

「写真なので、ピントが合っている/合っていないという評価を下されてしまいがちなんですけど、意外とリアリテイがあるんじゃないかと思います。今日あった時間を色々思い出してみたときに、このピントの合っていないイメージの方がその時間を映し出していて、逆に鮮明に思い出せると言うか。これだけの情報があれば、過ごした時間と関係性をリアルに感じることができますよね。」(池田さん)(撮影:河原功也)

「(写真に写り込んだビニールなどを指して)こういうのがいいですね。デザインをしているといろんなものを排除していきがちで、シンプルにはなるんですけど、偶然性がどんどん離れていくんです。ドキュメンテーションというものは、色んなことが重なった偶然なんだということを見せた方が、気持ちが伝わるんです。」(池田さん)(撮影:池ノ谷侑花)

「初対面は距離を遠くに保ちがちですが、このペアは互いにとても顔が近く撮れています。” 人が好き” と言っていたことが表れかもしれないし、互いに“近づきたい” と思った結果の距離感と言えるかもしれません。出来上がった写真が同じような距離であるということは、面白いですね。」(池田さん)(撮影:渡邊麗子、照沼晃子)

 
「写真はある意味、関係性を作り出すことができたり、物語を作ることができます。写真に写っていなくても、一緒にいた人のことも写してるんですよね。」(池田さん)
「写真は最後に相手に届けることによって完成する」と池田さん。ファインダー越しに相手をみるとき、この1 枚に綴られる様々な情報をどのように届けるか、その編集の形も考えることも写真の一環といえるのかもしれません。
 

Topics:
写る他者と写している自分の対話や関係性が写真に宿る

「写真を学ぶ」というと、構図や色味などの撮り方に注目してしまいがちですが、池田さんは写真に写る方やそのかたを取り巻く環境との関係への気配りにあふれていました。被写体だけでなく、写している自分と過ごした時間や縮まっていく距離感そのものが結果として表れる写真。「いい写真」の後ろ側には、被写体と撮影者の関係性・コミュニケーションが宿っているのだと感じました。

これまでの講義