プロジェクトスクール@3331レクチャーvol.4

プロジェクトの作り方(講師:美術家 藤浩志氏)


プロジェクトスクール@3331 第2期、第4回目は美術家の藤浩志さんを講師に迎え、『プロジェクトの作り方』をテーマに講義を行っていただきました。
折しも、プロジェクトコース生はグループプロジェクトを始動させたばかりのタイミング。実例をご紹介いただきながら、「プロジェクトの始まり」がご自身の中でどのように生成され、形作られてきたのかお話いただくことで、新たな切り口を発見する機会となりました。

【実施概要】

日 時: 8月30日(水)

講 師: 藤 浩志 氏(美術家)

参加生徒数: 24名

 

イメージを立ち上げ、新たな流通を作る

「僕は、自分自身が『イメージを立ち上げる』仕事をしていると思っています。イメージとして立ち上がった言葉、音楽、絵、プロジェクトが流通していって、デザインされたり、商品化されたりして世の中が作られています。つまりイメージを立ち上げた故に、今の風景が作られているということになりますね。さて、イメージの前には、イメージ化されていない、言葉にも形にもなっていないものがあるわけです。僕はそれを『モヤモヤ』と名付けていますが、これはどこから来るのか?今流通している風景や商品などへの違和感・ずれからではないかと思っています。違和感に向き合わない限りは、新たなイメージが立ち上がることはないし、新たなイメージが立ち上がらなければ、新たな流通は生まれないわけです。」(藤さん)



 

「何と関係を築きたいか」が表現につながる
京都での学生時代、三条大橋のたもとに仕掛けた「泳ぐ鯉のぼり」。「『場』という概念が生まれる前のことではありますが、プロジェクトの舞台を実社会にしたことで、予想もしなかった面白さが生まれました。」(藤さん)

関係性の中でプロジェクトが作られることが多いという藤さん。そもそも、“何かを作ろう” と思って作るという考え方ではなく、何かに触れて行こうとしたり、何かに到達しようとしたり、何かに自分が手を伸ばそうとした結果、表現することにつながっているとおっしゃいます。
「表現すること=伝えることだと定義されがちですが、僕は別に伝えなくてもいいと思っていて、むしろ自分が何に繋がりたかったか?どう深い関係を作っていくのか?が重要ではないかと考えます。そして、プロジェクトの中には、繋がりたいと思っているものと自分との間の“予想できる関係” を超える、なんらかの仕掛けを作ることで、その関係性が大きく育っていくと思っています。」(藤さん)

 

表現を通じたシステムへの介入、そして広がりのあるプロジェクトへ

 パプアニューギニアでの青年海外協力隊の時代を経て、お米のカエルプロジェクトや鹿児島での石橋取り壊しに反対するプロジェクトなど、社会との接点が色濃いプロジェクトを展開していった藤さん。特に、鹿児島での活動後、内部に入らないとシステムは変えられないと気づき、システムに対して、表現が介入できることを模索し始めたそうです。プロジェクトも「仕組み」そのものを作っていくような形にシフトしていきます。「どのプロジェクトでも、誰とやるのか、どこでやるのかがまず肝要です。それによってステークホルダが決まります。そしてシステムに対して介入していくためには、なんらかのツールが必要だと気づきました。また、デモンストレーションを行うことでそのシステムを見せることができます。こうした流れの中で、最も大きい動きになったのが、家庭の廃材を使った『ビニール・プラスチック・コネクション』ですね。『かえっこ』はこの中から生まれたプロジェク
トです。」(藤さん)

「かえっこ」は全国各地に伝播し、様々な発見を生みます。地域に子供の遊び場があまりないこと。子どもが主体的に運営する機会がないこと。オープンソースのような「かえっこ」の仕組みは、各地域の中で新たな発見を生みながら成長していったのです。

 

Topics:
違和感と向き合い、関係性の中でプロジェクトを作り出すことで時間や空間の質を変える

「役に立つことや意味のあることを考えるよりも、自分の中の違和感に向き合いながら、触れたい世界に手を伸ばすことからプロジェクトを始めていったらいいのではないかと思います。関係性に飛び込み、仕組みに介入しながら、抱えている違和感の内部に仕掛けていくことで、知らない世界に出会うことができ、時間の質や空間の質をより良いものへ変えていくことができます。僕の場合はそうやってプロジェクトを作ってきました。」(藤さん)
一見それぞれ個別の動きに見える藤さんのプロジェクトですが、お話を伺うと、藤さんを中心とする様々な人や社会の事象との関係性の中で、有機的に繋がり、結果として「藤浩志の表現」が出来上がってい流ことがわかります。刺激的な「藤メソッド」に触れ、プロジェクトのアプローチの多様性を知ることができました。

これまでの講義