プロジェクトスクール@3331レクチャーvol.5

プロジェクトの基礎の基礎(講師:東京アートポイント計画ディレクター/TURNプロジェクトディレクター・森 司 氏)


プロジェクトスクール@3331 第2 期、第5 回目は東京アートポイント計画ディレクター/ TURNプロジェクトディレクターの森司さんを講師に迎え、『プロジェクトの基礎の基礎』をテーマに講義を行っていただきました。
様々なアートプロジェクトに携わる森さんのおっしゃる、プロジェクトの礎(いしずえ)とは何なのか。考え方からノウハウに至るまで幅広くお話いただきました。

【実施概要】

日 時: 9月5日(火)

講 師: 森 司 氏(東京アートポイント計画ディレクター/TURNプロジェクトディレクター)

参加生徒数: 20名

 

「アートは自己表現」か?

 

「改めて聞きたいのですが、デザインとアートの違いとは何だと思いますか?どんなものにデザインを感じ、どんなものにアートを感じるか、グループで意見交換してください。」(森さん)
講義はこんな問いかけからスタートしました。
アートは自己表現、デザインは問題解決。自分の求めで行うか、他者からの求めで行うか…明確なようで、線引きをしきれないという声も上がりました。
「アートが自己表現である、依頼者がいるからデザインである、という認識はどこからきているのでしょうか。クライアントがいなくても、デザインを表現活動として行う場合もあれば、コミッションワークというかたちのアート作品もありますね。作品の経済的な行為、頼まれたからデザインで、頼まれてないからアートだという主張は、論拠としては危ういと言えます。」(森さん)
 

自己実現と社会実現、予見性への応答

「“世の中とどう向き合うか” を出発点にするという点において、デザイナーが問題解決のためにデザインを考えることと、皆さんがアートプロジェクトを考えることは、あまり遠いものではないかもしれません。「アート=自己表現」の域を超え、社会が必要とする何かに答えようとすることで、自己実現と社会実現の可能性が出てきます。アートプロジェクトを考えるときに、ある種の『予見性』に対しての応答が必要となってくるのはこのためです。具体例を挙げるならば、2020 東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れてできることは何か、もっと大きく考えるなら超少子高齢化社会を迎える日本で発生する問題をどう解決していくのか、ということです。」
 

「自分」と「社会」におけるアートプロジェクトの意義

「イシューや課題を前に、アートがその解決をできると思うかどうか。アートの持つ力を何だと思うのか。これを習うのではなく、考えて欲しいんです。揺るがない、骨太な確信を持つことでプロジェクトに邁進することができます。やり方がわからなければ、知識と経験を持つ人と組めばいい。0から1 を生むために必要なものは、方法論ではなくて、パッションかもしれない。重要なのは、このパッションを自分の中に留めるのではなく、社会化し、時代が求めるものとどこかでシンクロさせることです。」(森さん)

社会課題を考えていくためにアートプロジェクトを用いることの正当性をどこに見出すか、も重要な視座であるという森さん。経済効率や複雑なステークホルダとの関係を超えて、それでもアートプロジェクトを行う意味とは?
「問題解決だけでなく、アートは問題提起をするとよく言われます。中々勇気のいることではありますが、課題を考えていくという点において、アートプロジェクトの意義を見出すことができるかもしれません。」(森さん)

講義の終わりには、アーツカウンシル東京で発行している各種のテキストをご紹介いただきながら、プロジェクト運営における具体的なアドバイスをいただきました。
 

【ご紹介いただいたテキスト・資料】
・アートプロジェクトの現場で使える27 の技術(発行:アーツカウンシル東京, 2017年3 月)
・東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本(発行:アーツカウンシル東京, 2017年2月)
・「日本型アートプロジェクトの歴史と現在 1990 年→2012年」補遺(発行:アーツカウンシル東京, 2016年3月)
・芸術祭ノート(発行:アーツカウンシル東京, 2017年3月)

 

Topics:
実践しながら問い続けることで、プロジェクト運営に必要な思考と技術を養う

「アートとは何か。デザインとの違いは何か。アートプロジェクトを行う意義は何か。これらを哲学すべき、と言っているのではありません。しかしこうした問いを持ちながら実践をして欲しいんですね。スクールに来て学ぶことによって、プロジェクトに対する考え方がシャープになると思っている人もいるかもしれないですが、僕は “モヤモヤが増えるほど勉強が進んだ” といえると考えています。」(森さん)
モヤモヤを考えながら、実践を積むことで、活きた知識を体得し、プロジェクト運営に必要な思考と技術を養うことができるのです。

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