プロジェクトスクール@3331レクチャーvol.7

文化・芸術プロデューサーとして価値あるプロジェクトを推進するためのヒント
~会計的な視点を中心に~


プロジェクトスクール@3331 第2期、第7回目の講義は公認会計士・税理士の山内真理さんにお越しいただき、「文化・芸術プロデューサーとして価値あるプロジェクトを推進するためのヒント~会計的な視点を中心に~」と題し、プロジェクトを活かす会計の話をしていただきました。
「クリエィティブなものをどうやって社会化していくか」をミッションに、専門性を活かして様々なプロジェクトや事業体に携わる山内さん。ご自身の会計事務所とともに非営利の活動(Arts and Law/アーツ・アンド・ロー)を展開される中、培われたご経験や携わってこられた事例を元に、お話をいただきました。

【実施概要】

日 時: 10月23日(月)

講 師: 山内 真理 氏(公認会計士 /税理士)

参加生徒数: 20 名

 

プロジェクトを仕掛け、育むためのヒントとしての会計


「会計は、事業が価値創造できているか?投資した分の効果は得られているのか?など、事業の健康状態について客観的に診断するカルテのようなものです。価値を評価する人たち(市場)やプロジェクトを取り巻く人たちを結ぶためのツールでもあり、クリエイティブな事業・価値創造を持続させるためのツールとも言えます。」(山内さん)
会計を「道具」として使いましょう、とおっしゃる山内さん。例えば、収益(売上)は『プロジェクトを実施する中で、このプロジェクトの価値をどれだけの人が感じてくれたのか?を測るための指標』と位置付けることができます。また、同じ収益でも、販売など『商品・サービスの直接の価値を感じている人の存在』と、寄付やクラウドファンディング、助成など『受益者が直接享受する価値以外のものに価値を感じている人たちの存在』に区分することができ、プロジェクトの価値の構成要素をあらわにすることができるのです。
「会計はこうした振り返りを通じて、状況を当事者間で共有することに役立ちます。数字を見ながら、プロジェクトに関わる人たちを幸せにできているか?その事業の魅力を社会化できているか?を問い続けることも、会計の使い方の一つです。」(山内さん)

 

黒字をデザインする


「活動について、お金儲けが目的じゃないから…とおっしゃる方もいらっしゃいますが、利益がでるからこそ価値を分配することができ、次の活動に充てることができます。いかにして黒字をデザインするかは、活動継続の第一歩です。さらに、立ち上げた事業を持続させるためのポイントとして、目標値の最低ラインとして損益分岐点の売り上げ規模を把握しておくことや、年次単位での収支計画書や短期的な資金繰り表を作って月次のキャッシュ残高を予測しておくなど、キャッシュのコントロールを行うことなどが挙げられます。」(山内さん)

 

会計を活かす先である、ミッション・ビジョン・生み出す価値を明確化する

 
「プロジェクトをなんのために推進するのか、実現したいミッションを明確にし、なりたい姿としてのビジョンをはっきり描く。これは会計に先立って重要なことです。推進力の根源と素直に向き合い、ミッションやビジョンを自分の言葉で説明することを通じて、事業を通じてどんな価値を提供したいのかをしっかりと社会に伝えていく。私自身もそうですが、この作業を自らに課し続けることで、だんだんと『解像度が上がる』ようになっていき、やりたいことの本質・核心に近づけるようになるのです。」(山内さん)

 

 

Point:
プロジェクトの客観的な事実を映す鏡、歴史を刻む記録、関わる人とのコミュニケーションツールとして会計を活用する

 「会計は、経済活動を貨幣的単位で測定・記録・分類・整理することで報告できる状態にするという一連のプロセスのことを指します。会計は、いわばプロジェクトの経済的なアーカイブを提供するものとも言え、帳簿はその事業の歴史が刻まれているものです。そして、プロジェクトに関わる人たちに共通理解を促すためのコミュニケーションツールでもあります。プロジェクトを推進するご自身のため、また関わる人たちのため、そして何よりプロジェクトそれ自体が社会的インパクトをもたらせるようにするために、会計を道具として活用いただきたいと思います。」(山内さん)
 数字の記録だけではなく、プロジェクトの方針や関わる人との関係性の構築にも踏み込める会計。活用方法を知ることで、プロジェクトを実態として捉えやすくなるのだと感じました。山内さんに伴走していただいているつもりで、会計を味方につけた運営をしていきたいですね!

これまでの講義