プロジェクトスクール@3331レクチャーvol.11

都市地域再生プロデュース ーリノベーションまちづくりの事例からー


プロジェクトスクール@3331 第2期、第11回目の講義は、都市・地域再生プロデューサーの清水義次さんによる「都市・地域再生プロデュース ーリノベーションまちづくりの事例からー 」です。
全国各地の都市・地域の再生に携わってこられた清水さん。事例に基づく実践的な立場から、これからのまちづくりのあるべき姿や、プロジェクトを始め、そして続けることへの覚悟を持つことなど、様々にお話いただきました。

【実施概要】

日 時: 11月27日(月)

講 師: 清水 義次 氏(都市・地域再生プロデューサー)

参加生徒数: 20 名

 

民間主導で行う、リノベーションまちづくり

「リノベーションまちづくりと一口に言っても、民間不動産を活用した比較的規模の小さいものから、アーツ千代田3331 など公共不動産を活用した大きめのものまで、様々な取り組みがあります。それらを同じエリア内に重ね合わせることで、まちが再生されていきます。公共も民間も、不動産には境目がないという考え方ですね。ここで重要なのは補助金に頼らないということ。補助金は投資です。縮退時代にあって税収が減っていく一方なのですから、補助金として投入された分、事業者は税金として10 倍にしてお返しする気概が必要だと思います。

民間主導の利点は、意思決定のスピードの早さ、豊富なアイディア・選択肢、そして自己責任でお金を回していくことにあります。しかし民間はそれぞれの動きをしますので、まとまりがありません。まちのベクトルを定めるため、行政と民間と一緒になって『動ける』チームを作り、ビジョン(構想)を策定することが必要です。これを受けて、まちの中で活動する民間はそれをコンセプトとして背負いながら、各々プロジェクト・事業を実施していく。また、行政は行政にしかできないこと(例:道路の使い方など)に取り組んでいく。こうした動きで、願う方向にまちが変わっていくのです。」(清水さん)

 

公民連携プロジェクト「オガール紫波」


清水さんが携わったプロジェクトの一つである岩手県紫波町の「オガール紫波」。現在、公民連携の成功事例として全国の自治体等から視察依頼が絶えないそうです。
「オガールのプレイスメイキングは、人口減少時代の中で人口を維持し、産業群を作り上げ、新しい町の中心を作ることが大きな目標です。公民合築のオガールプラザ、町内外からたくさんの人が集まるオガール広場、最先端のエコハウス分譲のオガールタウン。いずれも自立型で運営できるよう収益構造設計やノウハウの移転まできっちり仕組んでいます。都市や地域の経営課題は、こうして同時に、複合的に解決することができるのです。」(清水さん)

 

都市・地域再生プロデュースの極意とは・・・

都市・地域再生プロデュースとは、各地の課題に向き合い、目的(ゴールイメージ)を明確にし、そのプロセスを設計・実施することの総体を指します。清水さんは、リノベーションまちづくりにおいて、まずは実践的な都市政策を策定し、その構想をプロジェクトで実現させ、その推進のエンジンとなる場を作り、小さく生んで大きく育てるという4段階のプロセスを形成することで、今まで様々な事例を生み出してきたそうです。

「このプロセスを進めていく上で重要なのは、失敗の原因をしっかり分析し、間違ったやり方を素直に認める態度、行政・民間(既存の名ばかり組合ではなく頭と手を一緒に動かしてくれる)の信頼に基づいたパートナーシップ、お金に関しては初期投資主義から運営管理主義への切り替え、補助金ではなくファイナンスの感覚を持つということです。これは個別の商店主も行政にも等しく求めていきたい感覚です。リノベーションまちづくりを通して、築いてきたこれらのメソッドは、他のジャンルにもきっと応用が利くものだと考えています。
そして、プロジェクトのプロデュースには領域を超えて共通する極意があると思います。舞台を準備しキャスティングすること、そしてキャストに主役になってもらい、彼らに自由を与え、のびのび活動してもらうことです。プロデューサーは、悠然と構えて、人を分け隔てなく慎重に観察し、人と人を自然につなぎ、人が自然に動くようにはからうことが大切なのではないでしょうか。」(清水さん)

 

Topic:
『何のために何をするか』
ミッションステートメントを明確に持つ

まちづくりに限らず、まちを舞台にプロジェクトを行う際、課題の把握と仮説でもいいのでゴールイメージを描くことが重要と清水さんはおっしゃいます。このプロセスにおいて『何のために何をするのか』という自分自身に対する問いかけがもっとも重要だそうです。
「プロジェクトはプロジェクトをやること自体が目的ではありません。『何のために何をするのか』、つまりミッションステートメントですね、これをみなさんにもはっきりと持ってほしいと思います。私の場合、『街の中にダイブ』し続けることで、その意識を保ち続けるようにしています。ミッションステートメントはしっかりと書き留めて、仲間と共有し、時々立ち戻ることができるようにしましょう。」(清水さん)

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