プロジェクトスクール@3331レクチャーvol.12

アート/ソーシャル・プロジェクトと法律 と アート/ソーシャル・プロジェクトと著作権の話


プロジェクトスクール@3331第2期、第12回目は、弁護士の桶田大介さんによる「アート/ソーシャル・プロジェクトと法律」「アート/ソーシャル・プロジェクトと著作権の話」の二週連続講義です。
桶田さんは通常の弁護士業務に加え、アニメやマンガという文化を法務面で支え、その発展に寄与する活動をされておられます。「法律や契約は、『つながり』を整理して社会的に位置づけ、その成果を糧に新たな創造を行うための手段」とおっしゃる桶田さんから、基礎的な法務知識とともに、プロジェクトを運営する上で配慮が必要な点について実例に基づいてわかりやすくお話いただきました。

【実施概要】

日 時: 12月4日(月)、11日(月)

講 師: :桶田 大介 氏(弁護士/牛鳴坂法律事務所)

参加生徒数: 4 日 21 名、11 日 14 名

 

社会におけるプロジェクトの位置付けを明らかにする、法律や契約

「社会(自分の私的な領域以外)で何かプロジェクトを実施しようと思うとき、法律や契約は切っても切り離せません。社会の中で蓄積があるものに関しては、法律の定めるところによりますが、前例のないことはルールを新たに設定する必要があります。当事者間の関係を整理し、その在り様そのものを規定して定義するのが契約です。

法律や契約を扱う際に大切なのは、何が確かで何が不確かなことなのか?、不確かなことは特定のしようがあるのかないのか?など、事実関係をしっかり整理することです。そのために、1)当事者は誰なのか、 2)債権(要求できること)と債務(求められていること、すべきこと)は何か、 3)どういった時系列の中で①②の関係が発生するのか(いつ誰が何をすべきか、いつまでに何を求めることができるのか等)と分解して考えると、問題を紐解いて考えることができます。」
(桶田さん)

 

商標を活用してプロジェクトを守る

プロジェクトはいわゆる作品(思想や感情の創作的表現)とは異なり、仕組みや人の関係で成り立つもの。つまり著作権の保護の対象にはなり得ないことが多く、一方、契約のように当事者間の取り決めを定めるだけでは第三者の介入を防ぎきれません。

「こうしたときに活用できるのが、『商標』です。名称やマークについて独占的に使うことができることを法律で設定します。プロジェクトにある程度資本を投下し、継続的に行うのであれば、名称やロゴマークを商標登録しておくことをおすすめします。強い権利でもあるので、誰がその権利を持ってどうコントロールするのか、プロジェクトの中で予め認識を統一した方が良いですね。」(桶田さん)

 

プロジェクトと著作権

身近にあっても、一般的には具体的に取り扱う機会が少ない著作権。歴史の変遷の中で築いてきた概念そのものであり、具体的な物体ではないことが、その扱いにくさの所以であると桶田さんはおっしゃいます。

「著作権と著作物は異なります。例えば、作家が頭の中にある構想を文章化した情報そのものが著作権の対象の実態ですが、アウトプットである小説の原稿や書籍は著作物にあたります。著作権自体は目に見えない概念でしかないのです。また、世の中に表して初めて著作権が発生する訳なので、アイディアだけでは保全対象になりません。著作権は『権利の束』と言われ、著作権法に基づいて著作物に関して認められている様々な権利全体を指します。そもそもの成り立ちの背景として、経済性を重んじた結果にできたイギリス法系の要素と、『著作物は著作者の魂の子どもである』とした人権意識に基づくフランス法系の要素が歴史の中で絡み合ってできているので、複合的なのです。著作(財産)権は譲渡ができますが、著作人格権が譲渡できないのはこのためです。

また、著作権があるから全てに於いて許諾が必要という訳ではありません(制限規定)。創作と利用のバランスという意味で、この点を知っておいた方が良いプロジェクトもあるでしょう。

プロジェクトの内容によって、著作権のどの部分を気にしなければならないのか異なりますし、そもそもプロジェクトが著作権の範囲内でクリアできない問題を抱える可能性もあります。著作権に限らず、弁護士や弁理士など専門家のアドバイスを請いながら、法律や契約という手段を上手く活用していただきたいと思います。」(桶田さん)

 

Topic:
法律や契約と付き合いながら、プロジェクトを創造する

「人材の育成」「遊休化した空間の利活用」「ワークショップを通じた作品制作」多くのプロジェクトは、社会や他者との関わりの中で実施・運営されていくものです。その関わり・つながりは社会に現れた瞬間に法のもとに存在し、守られたり制限を受けたりするとともに、不都合を予め回避するために契約という形で整理し定義する必要があります。
「ソーシャルやアートの領域のプロジェクトは、今までにないことに挑戦していくものが多く、これらは判例や前例がなかったりします。専門家や専門機関、またはないものを作るという意味では議員との関係構築によって、法律や契約とうまく付き合っていく必要があります。」(桶田さん)

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